もうあそこには戻りたくない!

 

二度目のデートの約束。

 

東京駅で会うことにしました。

 

場所はお決まりの銀の鈴

 

平日の夕方の東京駅とは思えないほど、人はまばらでした。

 

約束の場所に着きました。

 

時計は、約束の時間5分前をさしていました。

 

(きっと来ない。これで終わりにしよう)

 

約束の時間になりました。

 

彼女は現れません。

1996年の事だから携帯電話などそれほど普及していなかったので連絡の取りようがないのです。

 

彼女、現れません。

 

15分経ちました。

 

もう、いいだろう。

 

さあ、帰ろう。

 

横須賀線のホームへ向かと、妙な看板が目に入りました。

 

銀の鈴」と書かれた案内板

 

今でもそうだが、銀の鈴はわかりにくい。

慣れていない人にとっては、広い東京駅構内で見つけるのは大変かもしれません。

 

そのまま、歩き続けてホーム入口へ向かう角を曲がりました。

 

えっ、、、、

 

その先にうろうろしている相変わらず薄着姿の背の高い女性が目に入りました。

 

「〇〇〇です。道間違えちゃった。」

 

なんかこれって偶然なのか、運命のいたずらなのか、ちょつと頭の中が混乱してしまいました。

 

 

彼女は当時、葛飾区に住んでいました。

そのことを考えてあまり帰宅に時間がかからない場所でご飯でも食べて返そうと思いました。

 

中央線乗り継ぎで錦糸町へ向かい、駅前の居酒屋で軽く夕食取りました。

そのまま帰るつもりで駅に向かったが、途中、ネオンがキラキラしているところがありました。

ゲームセンター

今と違ってアトラクション系のお菓子や巨大なぬいぐるみの取れるユーフォ―キャッチャーなどなく、小型のキャラクターグッズのぬいぐるみが多く、意外と簡単に取れました。

 

なので、ちょっと気晴らしに

 

「ちょっと、寄っていこうか」

 

と彼女にいいました。

 

ゲーセンの自動ドアが開きました。

 

 

中は、ゲーム機が醸し出す音楽の渦と、お金入れた時や景品を入れたときになる電子音が鳴り響き、騒々しいけどなんとなく居心地がいい。

 

店内をうろうろすると、見慣れないゲーム機が2台並んでいるのが見えました。

 

「相性診断」

 

会話の詰まったカップルの話題提供のようなアトラクションです。

 

もう一台はタロット占いのゲーム機。

 

ITもそれほど進んでいなかった当時としては、まだ珍しくちょつと興味がありました。

 

そうそう、まえにもこれやったことがある。大阪の彼女と梅田のゲーセンでやったやつです。

 

相性度70%

 

そのとき、出た数字だ。まあ、付き合っているんだからそんなもんだろう。

何らかの心理テスト的なもので、それほど信ぴょう性あるものではなさそうです。

 

同じゲーム機。

 

この、ちょっと変わったこの女との相性はどうなんだろう。

ちょっと興味がわきました。

 

この手のゲーム機はそれほど極端な数字をただき出すことはまずない。

だいたい、60~70%

よい時で80%前後。

あくまでアトラクションなので極端な数字をたたき出すようにはできていないようです。

あとは、言葉の魔術で煙に巻く。どうにでも取れるような表現で診断結果が出てくるのです。

 

「これやってみようか」

 

画面上に出てくる質問に二人で答えていく。

 

「月を見るならどこでみますか?」

1.砂浜 2 神社仏閣  3 崖の上  4 自宅のベランダ

 

 

などの質問が次々現れる

 

 

 

一通り質問の入力を終え、診断結果を待ちます。

 

相性が悪いと出れば、もうそろそろこの彼女とのデートはやめるつもりでした。

 

診断結果

 相性 98%  最高

 

 

何だこれ。まだ二回しか会っていないのに。

かなり焦った。なんだこれ。機械壊れてるんじゃない?

 

「これもやってみようよ」

 

隣のタロット占いのゲーム機にお金をいれる。

 

これはそんなに極端な数字は出てこないだろう。

 

二人でゲーム機の画面に現れるカードを指してオープンにしていく。

 

入力を終わり診断結果を待つ。

 

カップルの相性度

  96%

 

なにこれ。

 

マジ?脳裏をよぎりました。

 

ちょっと疲れてきたので、彼女を錦糸町の駅までおくり、すぐに家に帰りました。

 

次のデートの約束をして。

 

どうなるんだろうろう。

 

つづく